「ある英語の試験にX年もチャレンジしてるのに、目標とする級やスコアが取れない」というポストを、よくTwitterやInstagramで見かけます。英検やTOEICの方が多いですね。読む度に「勉強の仕方はどういうスタイルなんだろう!?もしかしたら、やり方を変えれば、結果につながるかもしれない……」と感じます。
そこで、リスニング対策に引き続き、リーディング対策の方法について書きました!こちらも読解問題であれば、どんな試験にでも有効活用できる考え方です。
「分からない単語が多すぎて内容が分からない」
「たくさん読む経験を積んでいるのに、なんで正解数が増えないのか分からない」
「ある程度の単語は分かるものの、目で文字を追っているときに中身が頭に入ってこない」
などとお悩みの方にオススメの記事です!
FOR EIKEN LEARNERS
リーディングの対策方法についてのお話をする前に、英検受験を考えている方に、1点だけ確認させてください!それ以外の試験対策を考えている方は、この部分は読み飛ばしてください。
英検では、3分野(リーディング、リスニング、ライティング)の素点平均が7割になれば合格圏と考えられます。CSEスコアへの換算時に上下しますので、確実な安全圏は8割ですが、これまでの生徒さんたちの成果を見ていると、素点平均7割達成の方は合格されています。
そこで考えていただきたいのが、3分野における素点(=問題数)の違いです。たとえば1級は、リーディングは41点、リスニングは27点、ライティングは観点別評価の合計が32点です。素点は違うものの、CSEに換算すると、どれも850点になります。ということは、問題数が少ないほど、CSEに換算されたときの影響が大きいんです。特にライティングの場合、最近の傾向から、素点の割合はほとんどそのままCSEの割合になっています。素点で8割なら、CSEでも8割得点できるということで、しっかり対策した分だけ評価に繋がる傾向があります。
ということは、あくまでも単純計算をした場合、英検1級では問題数の少ない順である、リスニング、ライティング、リーディングの順に技能を強化していけばCSEの得点が合格基準を突破しやすく、合格しやすいということになります。
特にリーディングの正解率が素点で5割前後になってしまう方に朗報で、リスニングとライティングの平均を8割~9割に持っていけば、5割でも合格基準に達することができるんです。(実際にこのタイプの成績で合格されたプライベートサポートの生徒さんがいらっしゃいます!詳しくは事業実績のページをご覧ください)
そこで!
リスニングが得意な方は、リスニングを強化しつつ、ライティングの対策からまずはがんばる。リスニングとライティングどちらも自信がない方は、点が上下しにくいライティングから対策をがんばり、リスニング、リーディングの順で対策をする、というのがオススメなんです。
ライティングの強化は、リーディングの強化にも直結するので、さらにお得です。なぜならば、ライティングもリーディングも、根底に必要なスキルは「論理的な思考力」と、その思考を支えるための「論理的な言い回しをする語彙」だからです。
論理的な思考を支える語彙には「理由」「原因」「結果」「数/量の増減」「良し悪しを示す価値観」などがあります。品詞ごとにありますので、それぞれを名詞・動詞・形容詞・副詞と使い分けていくことになります。これらの語彙をライティングをしながら、1級レベルまで上位互換することで、リーディングのための速読力と単語力の強化にもなるんです。
最終的になにが言いたいかというと、リーディングに対し本当に自信がない方、そして過去問を解いて5割前後の結果になってしまう方は、試験合格ということを第一とするならば、リーディング対策は優先順位を下げていい!という取捨選択の考えがあることをお伝えしたかったんです。技能を習得するという意味では正攻法ではないかもしれませんが、試験取得にお金をかけている以上、そして受験チャンスは無限ではない以上、あってもいい考え方だとわたしは思っています。
試験当日にもこの考えをできれば持っていていただきたいのです。限られた時間でリーディングとライティングを行わなければならないなかで、万が一時間が足りなくなりそうになったとき、どちらを優先するのか?というのを判断できるようになっていただきたいんです。
この記事に書いてあるリーディング対策の方法は、この取捨選択の考えを前提としながら、少し気を楽にして読んでいただけたら嬉しいです!
4 QUESTIONS TO CHECK YOUR EFFICIENCY OF READING PRACTICE:
IN WHAT WAYS?
どのようなやり方で練習しているのか?
HOW MUCH PREPARATION?
読むのに必要な土台の準備はどのくらいできているか?
HOW MUCH ANALYSIS?
自己分析はどの程度できているか?
WHAT ACTIONS TO TAKE?
どんな対策方法がとれているか?
IN WHAT WAYS?
読むのに必要な土台の準備はどのくらいできているか?
■洋書<ニュース<対策問題<過去問
「たくさん読む経験を積んでいるのに、なんで正解数が増えないのか分からない」とお悩みの方は、
・なにを読んでいるのか
・どのように読んでいるのか
を検討してみましょう。
リスニングの説明をしたときと同じで、リーディングにも「受動的なリーディング」と「能動的なリーディング」が存在します。
受動的なリーディング
小説や専門書による洋書の読書は、受動的なリーディングです。情報をインプットすることがメインだからです。読みながら、情景や出来事の理由などを考えるかもしれませんが、そのなかから正解を見つけ出すわけではありません。語彙の習得を目的とするには情緒を表す表現や、専門用語が多すぎます。
能動的なリーディング
対策問題集や過去問を使ったリーディングは、能動的なリーディングです。情報をインプットするのと同時に、頭の中で要約し、さらに選択肢を理解し、最終的に要約と理解を元に選択肢を選ぶという形でアウトプットするからです。ニュース記事も要約を行えば能動的なリーディングと言えます。
というわけで、洋書のリーディングは、洋楽・洋画を通してのリスニングと同様、気分転換や成長チェックにオススメです!
作品やニュースのなかに学んだ表現が出てくると、成長を実感できますよね。検定資格のための勉強によって、どれだけ読めるようになったか、そしてそれがどれだけ自分の生活を豊かにすることができるのか、という確認を行う意味でもオススメです!学習に実用性がなくてもいいかもしれないけど、でも実用性があるにこしたことはありません。検定資格対策の意義を、自分の実生活にも紐付けられたらお得ですね。
それに英語は「検索力」を高めます。分からないことの大半は英語で検索すれば解決するんですこのサイトを構築する際も、英語で調べていることが多いです。翻訳されていない有益な情報って、思っているよりも遥かにあるんですね。逆を言えば、日本語の情報が限られていることにも、驚くと思います。
HOW MUCH PREPARATION?
リーディングを解くにあたって、絶対に習得しておきたい語彙があります。それはhoweverやthereforeなどの「論理マーカー」(discourse marker)です。その後の文章の行き先を示す言葉なので、論理マーカーを網羅しておくだけで内容を理解できる文脈・解ける問題がいくつもあるんですね。
■論理マーカーの理解
「分からない単語が多すぎて内容が分からない」という方こそ、論理マーカーを最大限に有効活用できるように整えましょう!
論理マーカーにも「副詞」「動詞」「名詞」「形容詞」という、4つの品詞が存在します。(前置詞と接続詞は副詞の中に含まれます!)この論理マーカーをいち早く読解のなかで見つけ、その論理マーカーが示す役割を意識して読むのが読解問題(と、リスニング問題)のコツなんです。
副詞
理由・原因・結果・情報の追加・序列などを表す副詞を優先して覚えましょう。
動詞
理由・結果、量や程度の増減・高低・有無を表す動詞などから覚えましょう。
名詞
前の文章や単語を言い換える「代名詞」と同じ役割を持つことが多い名詞です。
形容詞
量や程度の増減・高低、ポジティブ・ネガティブな形容詞を覚えましょう。
語彙リストの詳細は以下の記事からご覧ください。読む前に、ある程度のインプットがあるにこしたことはないですが、問題を解き終わったあとに、改めて論理マーカー探しをするのでもOKです。見落としがないように、よく注意して見てくださいね。
英検準1級くらいまでなら、語彙を全部読んでなくても、論理マーカーを辿れば正解できることが多いです。
■言葉のカタマリへの理解
文章を読むうえで、「言葉のカタマリ」を認識できる力もまた重要です。言葉の句切れを間違えてしまうと、まったく意味が取れないこともあります。それを防ぐために、ベーシックな品詞のサインは理解しておきたいですね!品詞のサインには、大きくわけて「単語の見た目」と「文法」があります。
副詞
頻度・否定の副詞
形容詞+ly の形
不定詞
接続詞・前置詞
動詞
助動詞
準助動詞
三人称単数形のs
過去形・完了形
名詞
-tion, -sionなどの語幹
不定詞・動名詞
疑問詞のカタマリ
接続詞のカタマリ
形容詞
名詞+ly の形
-able, -iveなどの語幹
不定詞・関係詞
現在・過去分詞
HOW MUCH ANALYSIS?
「たくさん読む経験を積んでいるのに、なんで正解数が増えないのか分からない」という方は、リスニングと同様に、「何が原因で、この問題を解けなかったのか?」という、自己分析が必要です。問題を一通り解いたあとに、丸付けをしますね。そのとき、○だったものはそれでOK!なんですが、間違えたものを放っておくのはNGです。間違えた問題に対して、常に「なんで間違えたの?」と自分に対して問いかけましょう。そしてうまく行ったときも同様に「なんで解けたんだろう?」と問いかけましょう。
■自己分析の記録と、その記録の復習を繰り返して効率よく学習する
分析結果は、解答をメモしているノートに記録していきましょう!自分の傾向を把握することで、最適な対処が取れるようになります。また次回取り組むときに、特になにに注意すればいいのかが分かり、改善のための良い習慣づけができるようになります。
- 読むのに時間がかかりすぎていて、時間内に解き終わらない
- 論理マーカーから推測ができていなかった
- まったく知らない初見の単語がキーセンテンスに多くあった
- 設問の意図を正しく理解できていなかった
- 選択肢で使われている文法や語法が原因で、正しく選択肢を理解できていなかった
- 選択肢とキーセンテンスの言い換えを理解できていなかった
- 集中力の妨げになる原因があった
- なにか問題を抱えている、眠い、騒音など気が散る環境にある、など
- 得意じゃない分野という先入観があった
考えられる原因は、これらの一体どれに当てはまるのか、というのを間違えた問題すべてに対し、考えていく必要があります!そして必要性が高そうなものであれば、それに対する対策を打っていくことになります。
一方でリスニングと同じように、「良いところ」にも目を向けてくださいね。今まで読みにくかったジャンルの文章が読めた、未知語は一定数あったけど正解できたなど!
わたしは単語帳暗記が昔から苦手なので、語彙力が本当に足りないです。そのため最初から「未知語があるてい」で読んでいます。だけどその分、論理マーカーや文脈の流れを有効活用した「未知語の無視」や「未知語の推測」が得意です。苦手なことは、別のスキルでカバーできるといいですね。
WHAT ACTIONS TO TAKE?
「ある程度の単語は分かるものの、目で文字を追っているときに中身が頭に入ってこない」というように、自己分析をした結果、読むのに時間がかかりすぎていたり、あまり本文の内容を理解できていないと気づいたら、読み方から変える必要があります。
■しっかり読み・ざっくり読みでメリハリをつける
精読をする習慣がある/あった人に多いのですが、一語一句しっかりと全文に対して「脳内和訳」をしようとしてしまうんですね。時間内に解き終わることが大前提の英語検定では、「キレイな日本語の全文訳」は必要ありません。特にTOEICでこれをやっていたら、時間に対して問題量が英検以上にありますから、読み終わるはずがないんです!
リーディングでは、情報の取捨選択を意識する必要があります。そのためには、以下の2点が重要です。
問題になっていないエリア
=ざっくり読む
問題になっているエリア
=しっかり読む。
このメリハリをつけるには、最初に設問に目を通す必要がありますね。このとき問題文を読むだけにしてください。4択の英文まで見てしまうと、先入観が読解の邪魔をします。よく分からない部分、そして本来なら分かる部分でも、自分の思い込みのままに英文を都合よく読んでしまうので危険です!
問題文を見て、キーワードを確認します。固有名詞や専門用語があればラッキー!その名詞が最初に登場するあたりから読めばいいということになります。それまでの内容は、ざっくり読みでOKです。
ざっくり読みをするには、スラッシュリーディングがおすすめです。スラッシュリーディングでは、脳内でキレイな和訳を作ることはしません。ある程度短い単語のカタマリを意識して、パズルのように情報を繋げながら、読み進めるやり方です。
このとき文脈の方向性を左右する論理マーカーが重要になります。「SV. Therefore, SV.」のように書かれていたら、どんなにSVの文章が長くて難しくても、「最終的にどうなったか」が書かれていると分かりますね!
慣れない方は「主語が動詞した / なにを? / いつ・なんで? / どうやって? / さらになにをした? 」というようにして自問自答することを意識するといいですね。
■「つまり、こういうこと?」という発想力を身につける
なにを言いたいか、ざっくりと内容が分かった!設問も4択の文章も読めている!となった場合、「文章の言い換え」に慣れていない可能性が高いです。本文と4択を照らし合わせたときに「つまり、こういうこと?」という発想に至ってない、ということですね。
その発想力を鍛える方法は、すでに解き終わった問題を使って行います。かなり前に解いて放ったらかしにしていたものでもOKです。
1.正解の選択肢を確認し、内容を理解する。
2.本文を頭からスラッシュ・リーディングを意識して読み、解答のキーセンテンスを探す。(解答冊子で説明されているかもしれませんが、自力で行うことが重要です)
3.キーセンテンスが分かったら、2文を見比べ「言い回し」の違いに着目する。
・それぞれどんな動詞がそれぞれに使われているか
・どの単語がどの単語に言い換えられているか
この作業を間違えた問題に行います!繰り返し行っていくうちに、「言い換えの傾向やコツ」が分かってきますよ☺
高校で生徒に対して読む方法を教えるとき、言葉のカタマリ単位で読み進めながら、自問自答のデモンストレーションをすることが多いです。このとき、生徒にとっての未知語のほとんど未知語のままにしておき、絶対に意味を知る必要があるもの、つまり論理マーカーだけは意味をしっかり確認します。リーディングのデモンストレーションを通してコツを掴んだ生徒は、その後メキメキと読解力を伸ばしていくことができています!